Liner Notes アルバム詳細情報
エマニュエル・シシ『アーバン・アドヴェンチャー』 エマニュエル・シシ  『アーバン・アドヴェンチャー』 このCDを購入する
GELA054 \2,200(税込価格) イタリア
前作「隠れた天使」(現在廃盤)で、ナタリー・ロリエとの共演で話題を呼んだ、イタリア生まれの実力派サックス・プレーヤー、エマニュエル・シシの待望の新作、国内盤で登場!

■曲目
1. バック・トゥ・ザ・シティー Back to the City
2. レイジー・レイニー・サンデー Lazy Rainy Sunday
3. チエロセレステ Cieloceleste
4. プリムラニタ Primulanita
5. ウェザー・オブ・ドリームズ Weather of Dreams
6. ノー・ウェイ No Way
7. 蛍が舞う夜 La Notte Delle Lucciole
8. カジモド Quasimodo
9. 子供たちの心 Children Heart
■メンバー
エマニュエル・シシ Emanuele Cisi(ts/ss)
パオロ・ビッロ Paolo Birro(p)
シモーヌ・モンナンニ Simone Monnanni(b)
ヨアン・セッラ Joann Serra(ds)
フランソワ・シャサーニト Francois Chassagnite(tp)(#1、4、8)
ジャン・マルク・ジャフェット Jean-Marc Jafet(b)(#7)
アルキトルティ弦楽四重奏団 Architorti String Quartet(#2、7)
■解説
 エマニュエル・シシというサックス奏者に初めて注目したのは、2000年録音作『隠れた天使』だった。ベルギーの才媛ナタリー・ロリエのリーダー作もカタログに擁するフランスの新興レーベル Pygmalionからのリリースであり、他の作品も含めてこのレーベルにも興味を覚えたことがきっかけとなって、2002年発刊の拙著『ヨーロッパのJAZZレーベル』で紹介。国内ディストリビューターとしてガッツプロダクションがいち早く名乗りを上げたこともあって、サックス好きやヨーロッパ・ジャズ・ファンの間にシシの名前が知られることとなった。同作はレーベル・メイトのナタリーの他、パオロ・フレス、アルド・ロマーノが参加しており、ジョン・コルトレーンの遺産を発展させながら、ヨーロピアンな美的センスも表現する個性と実力を印象づけている。ブックレットにあのジョー・ロヴァーノが「現代欧州ジャズ界において最も個性的なサックス奏者/作曲家」との賛辞を寄せたことも、重要だ。その後シシはテナーサックスの巨匠ソニー・ロリンズのレパートリーをカヴァーしたカルテット作や、ピアニスト=パオロ・ビッロとのデュオ作を制作するなど、自己の表現世界を拡大しながらキャリアを重ねてきた。

 シシの最新作となる本盤は、ビッロを含むカルテットをコア・メンバーとして、トランペットや弦楽四重奏が加わるという、過去の作品では例のない多彩なセッティングが要注目だ。アルバム名の『アーバン・アドヴェンチャー』を日本語で表せば、「都市の冒険」 。同名曲が収録されていないことから考えると、これはアルバム・コンセプトを象徴する言葉だと想像するのが自然である。「都市」とはシシが日常的に活動する環境を、「冒険」とはバラエティに富んだ本作の編成を指しているのではないか。カヴァー曲は2曲にとどめ、オリジナル7曲を中心に勝負を挑んだ点も、これまでの活動によってステージ ・アップしてきたシシの、新境地を開きたいとの意欲を感じる。オープニング曲「バック ・トゥ・ザ・シティ」を聴いて驚いた。ここにはハードバップをベースにしたサウンド、それも音楽ソフトがCDへ移行する直前のアクティヴな80年代主流派ヨーロッパ・ジャズに通じる活気が漲っている。「レイジー・レイニー・サンデー」になると、ソプラノサックスを手にして、ストリングスを含む室内楽的なムードを演出。「チエロセレステ」では男性的なテナー・トーンを震わせ、「プラムラニタ」ではモーダルな2ホーンズ・カルテットに挑み、「ノー・ウェイ」では『隠れた天使』同様、デイヴ・リーブマン譲りのエッジの鋭いソプラノ・サウンドで存在感を示す。テナーのサブトーンでプレイを組み立てる「蛍が舞う夜」のシシを中心とした音世界は、無国籍の優雅なリゾート地をイメージさせるようで実に面白い。アルバム・カヴァーでサングラスをかけて、“ちょいワルオヤジ”を気取ったシシ。人気拡大の予感がする。
(2006.1.23 杉田宏樹)



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